Do you want to live in India? Of course. No…
インドと言えば!?
空気汚染、水質汚染、50度の夏、貧困、農薬まみれの野菜、ゴミ山が放つ異臭…といったネガティブなイメージばかり。
インドに移住する前のわたしは、インドのイメージを文字通り受け止めていました。主人の仕事の都合とはいえ、一度住んでみてだめだったら帰ってこようという気持ちで2年前に、とりあえずやってきました。
今でも覚えているのが、デリー空港上空の視界の悪さ。
これが、まさかの大気汚染!予想を超えすぎていて、心の中で小さくショックを受けていたことを思い出します。今考えれば、日本は世界トップクラスの清潔な国ですので、ギャップが大きすぎましたね。
そんなわたしですが、今ではインドをこよなく愛する日本人の1人です。今まで、アメリカやイギリス、中国やフィリピン、インドネシアといった国にサマースクールや卒業旅行で訪問しましたが、どの国よりも日本が最高!と思っていて、海外で働く、海外に住むという選択肢はむしろ排除してきました。
しかし、なぜかインドはフィットした!
その理由の1つは、インドのこの住みにくい、快適じゃないところ。
この残念な環境が、今まで思考停止に陥っていたわたしの脳を活性化するきっかけとなりました。
冒頭でお伝えした通り、インドでは、日々の生活で「空気汚染、水質汚染、50度の夏、貧困、農薬まみれの野菜、ゴミ山が放つ異臭」という大きな問題を目の当たりにします。はじめの1年は自分の子供の安全を考えることで精一杯で、できる限りインドのそういった事情には目を向けずに生活をしていました。
そんな時あるワークショップがわたしに気づきを与えてくれました。インドで日本人双子姉妹が運営するオーガニック野菜を扱うHASORAさん主催のワークショップでした。そこで聞いた衝撃の事実。インドの農薬漬けのお野菜は、農薬外資産業の参入によって浸透したと知りました。本当に衝撃でした。
もちろん規制をしないインド政府にも大きな問題があります。
日本も同様ですが、野菜が育ちにくい環境のインドでは、ある程度の農薬は飢餓を回避するために必要です。でも、外資産業が他国で利益を得る時には、他国が健全に継続して繁栄していくことを一緒に考えていくことが自然です。これって、他国への敬意であり、先進国の人間ができるお作法な気がします。
なぜなら、得てして後進国や途上国の人々は知識や経験が不足しているがゆえに、「便利なもの」を誤った方法で使ってしまうからです。
インドを美しくない国にしたのはだれ?
インドの農薬まみれの野菜は、まさにその象徴です。
農薬を使いすぎた野菜を食べると健康被害があるとか、土壌が痩せて結局その土地では野菜が全く育てられなくなるとか、そういう情報を農家の方々は当初理解していなかったでしょう。
インドの待機汚染。
これって、今インドで大成功を収めている日本の某自動車企業が、次々と建設した工場がその一端であることは間違いありません。
異臭を放つゴミ山が点在するインド。
ゴミ山には土に還らないプラスチックがその多くを占めています。野生の牛や豚はそのプラスチックを誤飲し、悲しい悲しい最後を迎えています。
実は、日本人や海外の駐在員が多くのプラスチックをインドに持ち込み、そして廃棄しています。
インドには、日本のようにプラスチックのリサイクルシステムが確立されていません。プラスチック製品の便利さを好む一部の先進国の人々は、そういった背景を知らずに悪意なく、プラスチックを持ち込み、ゴミ箱に捨てています。捨てられたプラスチックをどう処理していいかわからないインド人は、ただただ、空き地にゴミ山として積み上げていくほかありません。
そんな日々の出来事を目の当たりにし、エコシステム(生態系)について深く考えるようになりました。子育てをしていることもタイミングだったのだと思います。
どうやったら、インドの大気汚染は改善されるのだろう?
どうやったらインドのプラスチックはなくなるのだろう?
どうやったら、インド人は農薬の過度な使用をやめてくれるんだろう?
わたしがなにかを解決できるわけではないのですが、とにかく課題抽出の毎日です。
1つの英語絵本がきっかけをくれた
今日ご紹介する英語絵本は「Over and Under the pond」
わたしが、日々の課題と向き合う中で、シンプルに「自然を保全することが根本の解決策である」と教えてくれた絵本です。購入当初は、Over とUnderの単語の概念を子供に教えたいという目的でした。
ある親子がボートに乗って、池を回遊しながら、「池の下」の世界を覗き見ます。
最近の日本、特に東京では、残念ながらなかなか経験できませんが、池にはかめやザリガニ、ウシガエルなどのたくさんの生物が生息しています。
「池の上」にはアシが生い茂っていて、その隙間に鳥が巣を作っています。ヘラジカが池に餌を食べに来たり、アオサギが遊びに来る様子が描かれています。
この池は、1つの小さな生態系(エコシステム)を表しています。この池の中で必要なものが全て生み出され、排出したものが浄化され、生物が健全に生きる理想的な環境が整えられています。
筆者は最後に、こう語っています。
Sometimes, ecosystem are threatened by pollution or loss of habitat, but when things are going well, every organism has a job to do, and together, they keep their pond healthy.
ときに人間が与える驚異によって、生態系は崩れ、それぞれの役割を果たせなくなる。けれど、全てがうまくいうようになればそれぞれの役割を果たし、池はきれいで、住みやすい場所に保ってくれると。(意訳です!)
まさに、今インドで起きていることは、人間が生態系を壊したことで起きている事象なんですね。
空気は汚く、水は汚染され、川、海は異臭を放っています。
自然が、私たちが生きるために必要な空気や水を浄化してくれる機能を失っている状態です。
日々の気づきと体験から、いま知識が活き始める
生態系については、誰もが小学校の理科の授業で学習したことですね。テストにも出た記憶があります。ですが、わたしは、長い東京の便利で最高に楽しい生活(生態系が存在しない場所)に慣れ、すっかり忘れていました。
しかし、自然を破壊することで起きているインドの最悪の事態。我々人間が創り出す、自然に還らないモノの恐しさを今リアルに感じています。もちろんこれを子供にもきちんと理解してもらいたいと願っています。
生態系を、本当の意味で学ぶということは、教科書の内容や単語を覚えること、暗記することではなくて、その知識を自分の実生活に落とし込んでいくことなんだ!と、今身をもって実感しています。
こういった体験型の学習によって、子供も大人も、学ぶことの意味や楽しさを知り、知識を自分のものにできるのでしょうね。
インドのこの快適じゃない環境によって、今わたしの様々な過去の知識が呼び起こされています。よく、「自分を成長さでたいのであれば、快適でない場所に身を置け」とは言ったものですが、今のところ効果はまずまずです。
子供にもこの便利でない、快適でない場所から、多くを学び続けて欲しいです。
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